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今日は創作物語②

(さっきのつづき)

コレだけ優しくされると、よし吉のほうも血の繋がったオトオ、オカアより帥源様を慕うようになりました。
普段、よし吉は山で拾ったどんぐりは自分で食べて、山菜やきのこをお寺によく持って行きました。
村の人の収穫した稲の脱穀を手伝って、そこで地面に落ちた米を拾い集めて帥源様にプレゼントしました。
「帥源様、これ今日脱穀の手伝いして貰っただ。たべてけろ。」
「いいのかい?お前だってはらぺこだろ?自分で食べなさい」
「もって帰ってもオラは食べれねえだ。帥源様に食べてもらったほうがオラ嬉しいだ」
帥源様は切なくなって、少し泣きそうになります。
「ありがとう。それじゃあ、もらっとくよ。その代わり、また寺の炊事場で何か食べていきなさい」
「あい!オラもそのほうがええべな!じゃ、ちょっくら貰ってくる!!」元気に走っていきます。

帥源様も自分の子供ではないけれど、同じような愛情を感じてました。
よし吉も、帥源様がオラのオットウだったらいいのに。オラ帥源様ホントに大大大好き!と思ってました。

でも、日照りが続いて不作だった年の冬によし吉は、帥源様の寺にふっつりと来なくなりました。
あんなに仲良しだったし、寺子屋もけっして理由も無くサボるような子でもなかったし、帥源様は病気でもしたのかと、心配しました。同じ村の子供たちに聞いてみても知らない、良く判らない、よし吉の家にも行った事無い、と情報が全くつかめません。
やきもきしてるだけでは埒が明かないので、寺の仕事が終わった後夕の刻、帥源様はよし吉の家を訪ねることにしました。

「すみません。山の寺の僧です。よし吉のお宅はこちらだと伺いました。誰かいませんか?」
ボロボロの家の中は真っ暗でした。目がなれないので最初は何も見えませんでした。
土間を歩いてると帥源様は何かを「コン」と蹴りました。まだ赤みのある骨です。
今年は日照りがひどくて、山に入っても食べるものがなく、村人が鹿や猪を食べるのは良くあることですが、白い骨を見て帥源様は違和感を感じました。
「これは獣の骨ではない・・・」
背筋がぞっとした帥源様は、暗闇に目が慣れてきて辺りを見回しました。
家の中の囲炉裏のある部屋の隅によし吉の頭部が転がってました。部屋、土間には骨が散乱してます。土鍋で死体を煮た跡があります。よし吉の両親は見つかってしまったと思い、部屋の隅で茣蓙を被って震えてました。帥源様が声をかけます。
「よし吉を食べたのですか?」
「オラ、食べてねえ、こいつが全部やったんだ!オラじゃねえ!」
「アタシは見てただけよ!此の人がやったのよ!」
暫くよし吉の両親は2人で言い合ってましたが、帥源様は静かに言いました。
「どちらでもかまいません。残った骨は私が引き取っても宜しいでしょうか?誰にも此のことは言いません。」
よし吉の両親は目を見開いたまま、黙って何度も頷きました。
殺すつもりがなかったとしても、当たり所が悪くて死んでしまい、お腹が空いていたので、2人で食べたのでしょう。
第2次世界大戦前まではどこの国でも良くあることです。

人目に付かないよう、農業用の麻袋によし吉の頭と骨を入れて、寺に持って帰り、帥源様が無縁仏として供養しました。
「もっと早く出家させる決断をすればこんなことにならなかったのに。私が不甲斐無いばかりに、こんな目にあわせてしまって。本当にすまなかった、よし吉。此の私を許してくれるだろうか。許さないのなら、せめて化けて出てきくれ。」
帥源様は自分の不甲斐無さを恥、泣きながら、ひっそりとよし吉の供養を行いました。

ある日の晩、帥源様は真っ暗なお堂で蝋燭を立てて一人瞑想された時人の気配を感じました。
小さな子供のような像を結び始めたので、よし吉が来てくれたと思いました。
帥源様はよっぽど怖くて苦しかったからよし吉は文句を言いたいのかと思い、聞いてあげようとしました。

「よし吉や。此の度は私の不甲斐無さの為にお前をこんな目に合わせてしまって、誠に申し訳ないと思っている。許して欲しいとお願いできる立場ではないが、何か思い残すことがあれば、何でもいいから言ってくれないか」

「オラ、帥源様がオラのオットウだったらいいのにってずっと思ってただ。
オラ帥源様ホントに大大大好きで、今もすごく尊敬してる。生き仏様がいるなら、きっと帥源様の事だと思ってる。ホントにオラに優しく、大事にしてくれただ。オラ帥源様の言うことなら何でも信じるよ。帥源様の教えてくれたお釈迦様の話も全部信じてるよ。
ありがとうごぜえます。帥源様に出会えてオラ、ホントに幸せだったべな。
オトオとオカアはオラのこと気にせずに、元気でくらしてくれって伝えてけろ」

「いいのか、本当にソレだけでいいのか?恨みごとはないのか?」帥源様は聞きました。

「確かにオラ怖いし辛かっただ。でも、ソレを全て帳消しにするほど帥源様の優しさが素晴らしかっただ。
オラ、帥源様に出会わなかったら悪鬼になったと思う。誰かに取り付いて人を食ったと思う。
ソレを食い止めてくれたのは帥源様の優しさだべ。
この世には生き仏様も居るからそんな事しちゃなんねと思っただ。
帥源様に会えたから、オラ今から極楽に行けるんだ。
有難うございましただ。帥源様。このご恩は決して忘れねえべな。」
そういってよし吉は暗闇に消えていきました。

男、帥源様もさすがに此のときは咽び泣きました。
仏に近づくためのあらゆる修行を行ってきましたが、わずか6歳の子供がその仏のあり方を肉体を持って眼前に現したこと。
そして、仏に最も近いと思われる許し・慈悲の心は自分の行いで培われたこと、悲しい魂を1つ救えた事を知り、感激、情けなさ、済まなさ、様々な感情が入り乱れ、感無量でした。
昔から真面目で勉強家だった帥源様は、それからよりいっそう民衆の救済のために励んだのでした。
(終わり)

元ネタは「私の帥源様」「よし吉の話」に文字数気にせず肉付けしました。
過去生を見る方法は「午後お出かけ」で紹介したので、興味があれば見てください。
現実の問題にガッツリ・タックル咬ますのはちょっと辛いなーって時は、回り道して過去生を見るのもありかな?と思います。
イメージの中で誰かを許すと、3次元世界の生活がちょっとマイルドになります。



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